**Roswell・・・somewhere** 暗闇の砂漠の中
マイケルとマリアが手をつなぎ走り続けている
ヘリコプターが二人をサーチライトで照らし追いつめる
2人の目の前に銃を構える軍の姿が現れる
Michael:マリア危ない!
マリアの前に立ちはだかったマイケルの体を銃弾が貫いた
スローモーションのようにマイケルが崩れ落ちていった
マリアはマイケルの体を抱きあげ叫ぶ
Maria:いやよ!マイケル!
早く起きなさいよ!絶対あたし1人にしないって約束したじゃないの
お願い目を開けて!マイケル・・・マイケル
Michael:マリア マリア
おい、どうした?
Maria:あ・・・夢だったの。そうよね
マイケルの声でマリアは悪夢から呼び戻された
彼の腕の中で規則正しい鼓動を耳にしていてもマリアは震えていた
Michael:怖い夢か?
Maria:ええ・・ねぇ、幸せと不幸はどうしていつも背中合わせなの?
記念すべき朝に悪夢で目覚めるなんて、もう最悪ぅ
Michael:目が覚めると隣に僕がいるのは最高じゃなかったのか?
Maria:それはそうだけど・・
Michael:注文の多いやつだな さてと、では奥様、朝食はどういたしますか?
Maria:もちろんマイケル特製オムレツ!
ほら映画のワンシーンみたいにベッドで食べるなんていいんじゃない
そういえばおなかすいたね〜
猫みたいなやつだ。もう悪夢はすっかり忘れている
だけどあいつの幸せそうな顔みているほうが泣きそうな顔みているよりよっぽどいい
不思議な感覚だよな
2人とも別に何が変わったわけでもないのに・・
家族になるってこういうことのかな
マイケルの顔に微笑みが浮かぶ
卵を割っている背中に柔らかな感触がするとマリアが後ろに抱き付いていた
Michael:なんだよ、こんどは?
Maria:いいでしょ 側にいたいんだもん
Michael:あのなぁ、お前にくっつかれていたら料理ができないだろ
文句をいいながらマイケルは後ろを向き引き寄せた
マリアの頭の上に顎を乗せていった
Michael:側にいなくたってお前は僕の中からいつも離れることはない
ほら、おとなしく待っているか手伝うかどっちかにしてくれ
Maria:は〜い
にっこり笑うマリアはマイケルにkissするとシャツの袖をまくった
Michael:手伝うつもりならその前に僕のシャツから着替えろ!
Maria:うふふ、あたしの魅力に誘惑されちゃたりするぅ〜?
デザートはマリアにしたいとか〜?!
マリアはシャツの下の素足をマイケルの方に伸ばし笑顔で首を傾ける
かなわないよ、マリア・・
壊してばかりいた僕がこんなに時間をかけて初めて作り出したもの
それがこの優しい時間だから絶対失いたくない
何が起ころうとも絶対壊させやしない
マイケルの決心を表すように唇が固く結ばれた
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
☆Crashdown☆
Liz:なんなのかしら?パワートライアングルって・・
Max:前に会ったときにはそんな話は何も言っていなかったよ
僕には余裕もなかったしね
ただ悪いことではないと思うんだ
Liz:ええ、エバがわざわざ戻ってこようとしたくらいですもの
Max:僕達だって少し大人になったよ
自分で必要なものを探し始めているし背負っているものが宿命というなら
もう逃げはしないよ
Liz:今なら起こることを冷静に受け入れられるわ
何が大事なのかもわかっているわ
Max:信頼できる友達がいる
今までいろんな人に助けられてきた
だから、これは僕達自身が解決しなければいけない最後のことだと思う
なによりもリズ君といっしょにいたいから
ずっと信じてきた・・未来は自分で作るって
なにが起ころうともけっして君の手は離さない
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
Kyle:イザベル、ジェシーには連絡したのか?
Isabel:ううん、していないわ
Kyle:いいのか もし何か起こったら・・
Isabel:それでも彼は巻き込まない
私はどこへも行く気も、今の生活を変える気もないから
余計な心配はかけたくないの
Kyle:秘密を持つことになってもか?
Isabel:秘密なんかじゃないの、何も変えないってことは・・
Kyle:そうだな
Isabel:あなたはどうするの?
Kyle:いっしょに行くさ
その後か・・・結局この町に戻ってくるかな
Isabel:バレンティ保安官3代目になる?
Kyle:いや、それだけはない
じいさん、親父、そして俺・・
(小声で)異星人にかかわる歴史はもう十分だろ
Isabel:ごめんなさい・・
Kyle:なんで謝るんだよ
俺さ、アレックスが言っていたクラブの良さが最近やっとわかってきたんだぞ
あっ・・ごめん・・
Isabel:気にしないで アレックスのことは絶対忘れないって言ったでしょ
私はアレックスを愛していたわ
本当に大切な人だったの
それはジェシーとは比べられない
Kyle:わかっているよ
アレックスがいい奴だったこともジェシーとのことは誰よりも先に見せつけられた
忘れたのか、俺が君の鼻水拭いてやったんだろう
Isabel:カイルったら・・ありがとう
Kyle:ところでマイケルとマリアはどうした?
まぁ新婚さんに野暮なことはいうな、か
俺って、なんか恵まれてないよな
ん?待ってくれ・・
おいラングレィ達が戻ってくるぞ
集まるのは夜じゃなかったか?
Isabel:やっぱり聞こえるの
Kyle:あぁ、パワートライアングルとやらのせいなんだろうな
カイルの言ったとおりにクラッシュダウンのドアが開きラングレィとエバ
その後ろからマイケルとマリアも姿を見せた
Langley:夜になって君たちの質問にあれこれ答えている時間はない
それでは君たちは納得しないと思ってな
人間という生命体は無駄なことにこだわる種族だ
Ave:ここじゃ、まずいんじゃない
UFOセンターは休館日のはずだよね
あそこへいったほうがいいよ
Max:そうだな
Michael:ふぅ なんだか嘘みたいな話だと思わないか
UFOセンターに乗員がぞろぞろ集まるっていうのは
Isabel:マイケル、やめてよ
Liz:とにかく早く行きましょう
Maria:そうよね 町の真ん中のセンターで何か起こすのは無理だもの何も起きないわ・・きっと
Kyle:まずい、親父が来る出かけるなら裏口からだ!
++UFO-center++ Langley:私たちの故郷が5つの惑星なのは知っていたはずだな
お決まりのように惑星間に勢力争いが起きるようになった
ある時、そう惑星のフォーメーションに、あの星が加わり初めてトライアングルを
作った時に4人のLegacy=継承者が誕生した
Maria:何それ?
Liz:たぶん変異種か進化種族が生まれたんじゃないのかしら
Langley:変異種か・・人類は古代から優れた能力を持った者を
「王」とか「神」と呼んでいたのではなかったかな
まぁいい 星がトライアングルを作っている期間に私達の
パワーは減少し最後には最小限まで抑えられる
だが彼らの力だけは他の者のパワーを吸収するかのように増大し
すべてをコントロールし戦うことなく惑星に平和をもたらした
彼らは権力を持つことを否定し、自分達の力をグラニリスに封印すると
次の継承者に渡した
なにかが起こったときにその封印を解けるのは彼らだけ、そして封印を解けるのは
パワートライアングルの力が最大になるたった1日だけだ
Max:その継承者が王族なのか
Langley:もともと王族とは呼ばれていない
人間の理解しやすい言葉に呼び変えたといった方が正しいだろう
Isabel:それじゃ、私達が遺伝子混合で復活したというのは、どういうことなの?
Langley:どんなところにも予期せぬ事態がある
キバーの反乱に対し全く無警戒だったために起こった最悪のシナリオを科学力で
書き直すことにしただけのことだ
継承者の遺伝子とグラニリスを乗せ脱出したシップが選んだ場所が
ここ地球だった
Michael:それがなぜ墜落を?
Langley:造反者の1人がシップに乗っていたのさ
幸い生き残ったのが私とナセドそれに君達だ
君たち継承者を守るために私やナセドが行動してきたことは説明しなくでもいいだろう
Ava:ふん、あんたは自分の暮らしが気に入って結局何もしなかったじゃないか
Langley:あぁ快適だったさ
さすがシップが選んだ星だけあった
Max:でもあのメッセージはどういうことなんだ
Langley:ホログラフのメッセージのことか?
あれは見たものが、その時一番従う者の姿を映像化するようにプログラムされていたのだ
君達にとって「母」のイメージが一番強いものだったということで、実際に星から送られてきたものではない
第一、君達の両親はシップに乗っていたのだからな
Max:では墜落で・・亡くなったのか
Isabel:なにもかも作られたものだったというの・・
あの本が私達の人生の設計図?
それを再現させたってこと?
本当のことっていったい何よ
なんのために私たちの復活が必要なの
そんなもの全然望んでもいないし誰も説明しなかったじゃない
Max:イザベル、落ち着くんだ
僕達は普通に生きて今の生活があればいいと思ってきた
ずっと引っかかっていた「母の言葉」が作られたものだとしたら僕達にとって
すべて無縁のものだ継承者の力など放棄すればいい
Langley:残念ながら、それは無理だろう
グラニリスが存在している限り、彼らはけっしてあきらめずに追ってくる
すべてを掌握できるパワーの源だからな
Michael:じゃ、どうしろというんだ
そのパワートライアングルという奴に解決方法があるのか?
・・あるんだな、封印を説けるそのたった1日に
Langley:そうだ
グラニリスに封印された力をもとの形に戻せばいい
Liz:もとに戻すって継承者の力を体内に取り込むということ?
そんなことをすればマックスたちを狙うのが簡単になるだけなのに・・
それが解決方法なの?
Ava:今は継承者を傷つけることは誰もできない
ラングレィが私達を傷つけられないようにね
パワートライアングルの3年前までにグラニリスを手にすれば、継承者に変化できるらしいんだ
Kyle:だから高校生の時に狙われたんだな
Langley:君達は継承者としての力に目覚めてもいない赤ん坊のようなものだった
Ava:だからパワーに影響が出ないうちに奴らは動かなければいけなかったんだ
Max:ラングレィ、それであなたにどんな得がある
継承者の力を受け継ぐことが出来るのは僕達4人なんだろう
なにも代償がないのに、あなたがそんなことを言ってくるとは思えない
Langley:さすがだな
我々には生命体以外の分子構造を変化させるパワーがある
だが継承者は生命体の構造も変えるパワーを持っているのだ
わたしは故郷に戻る気持ちはとうの昔にないからな
Liz:つまり完全な人間に変化できるのね
Isabel:そんなことって・・本当に可能なの
Langley:遺伝子混合されている君達は別だ
もちろん方法がないではないが、たぶん君達は選ばないだろう
Maria:リズ、どういうことなの
Liz:マックスたちの遺伝子は人間のものと結合されているの
不足している遺伝子を補わなければ人間への分子構造変化は
できないんだわ
Maria:待って不足の遺伝子っていったわよね
その方法ってまさか・・ローリーのことなの
Michael:馬鹿な、そんなことさせられるか
Langley:そういうと思っていたさ
グラニリスを分解し力の分散させる以外に破壊消滅させることも出来るだが
それは選択できないだろう
残念ながら敵はここにもいたはずだ
Isabel:FBIや軍のことね
Langley:彼らが異星人に対し友好的になれるまで
さて、どれだけかかることになるかな
それまでは排除しようとし続ける、あるいは研究材料にされるかだ
夜までは時間がある
よく考えて馬鹿な選択はしないことだ
ぞろぞろ集まって姿を消せば目立つ グラニリスのある場所を先に教えてくれ
心配することはない まだ私は保護者の役割を放棄できない
空気が沈黙に凍りついていた
Langley:我々のパワーで生命エネルギーの継承者になったのはその2人だったな
ラングレィがリズとカイルを見ていった
Langley:君達も必要だ。いっしょに来てくれ
マリアか何かを訴える前にマイケルが動いた
Michael:彼女もいっしょだ
その2人がパワーで救われたとすれば僕は彼女の力で救われた
僕は・・こいつがいなければ存在していない
波だっていた心が静かになっていく
マイケル・・
こんな状況なのに今すごく幸せだと感じているわ
あたしは・・間違いなくマリア・ゲリンになった
Langley:普通の人間が強大なパワーに耐えられると思うのか
前に経験したことがあるだろう
次元の歪みの中に消滅しまうかもしれない
無駄だ、試すことが馬鹿げている
Maria:ちょっと、忘れていない?
その強大なパワーとやらで起こしたことだって、ちっぽけな人間の力で解決したわ
どうするかはあたしが決めることよ
あんたには絶対わからないでしょうけど普通の人間にとっては1人で残されるほうが
ずっと耐えられないことなのよ
マリアの決意がセンターに響いた
Langley:ふっ この際だから面白いことを教えておこう
継承者の特異な遺伝子は人類のものに酷似していた
シップに指示した目的地は創生の星へ・・だった
あるいは人類は我々の祖先だったのかもしれないな
感傷的な思考だな、どうやら私もこの星に長くいすぎたらしいな
好きにするがいい
君達の意思を拒む気はない ただし責任もとれないがな
Ava:勝手にしろって正直にいったら
ラングレィは皮肉な笑いを浮かべセンターから出て行った
Ava:あたしも行くよ
Kyle:あのさ・・うちに来ないか?
Ava:え?なんで・・
Kyle:いや、特別な意味はないんだけれど
あんまり、あんな奴といたくないって叫びつづけているものだからさ
Ava:あんた、心の中が読めるんだね・・
Kyle:あ〜あ、ちょっとうらやましかったのにさ
超能力を持つのって・・これ、けっこうきついや
頭が爆発しそうだ
Ava:こつがあるんだ ちゃんとコントロールできるよ
Kyle:なら、約束の時間まで、そいつを教えてくれるか?
(こっそりと)哀しいことにプランがないのは僕ら二人だけだからさ
みんなのお邪魔はしたくないよな
Ava:あんたっていい奴だね
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
マックスとイザベルは自宅の前に立っていた
イザベルがマックスに手を差し出した
Isabel:兄さん、行きましょ
Max:あぁ
両親と出逢った時のように二人は手をつないで玄関へ向かった
Dian:まぁ、マックス!イザベル!
あなた、二人が帰ってきたわよ
マリアとマイケルの結婚式だったのよね
昨日はどうしてもミネアポリスから戻れなかったのよ
あなたたちが戻ってくること知っていたのに、ごめんなさいね
二人の結婚式はどうだった?
Isabel:もう熱々よ 二人らしくって素敵だったわ
Dian:あなたもきれいよ、イジー
聞きたいことだらけで困っちゃうわ
ボストンの暮らしはどう?くわしく聞かせて
イザベルとダイアンはキッチンへ向かった
Max:父さん、お話したいことがあるんです
二人は書斎に向かった
Philip:大学はどうだ
Max:たいへんだけど望んだことですから
Philip:卒業したらどうする?
Max:まだ決めていないけれどERか医師の不足している地域へ
行こうかと思っています
Philip:なるほど、お前らしい選択だな
そのときは、もちろんリズといっしょに行くつもりだろう
Max:ええ、そのつもりです
父さん、僕とイザベルは・・その・・普通の人間とは違います
うすうすは気づかれていたかもしれませんが、僕達には特殊な能力があります
本当の両親もそうでした
今となっては、くわしくわかりませんが、そのために軍の施設にいたらしいです
たぶん僕達は何かの理由で、そこから逃げだしお二人に保護されたのでしょう
Philip:そうか・・
お前の考えていることが、わからなくなりそうになったとき保安官に言われた
実の親を探そうとしていたらどうするとね
お前達を失う・・正直に言えばもし、そうならと考えたらと恐ろしかった
それでご両親は健在なのか?
Max:いいえ、すでに亡くなっていました
それに子供のときから僕達が記憶しているのは、この家と今の家族だけです
Philip:もういいマックス
お前達は私とダイアンにとって宝物だったよ
どんなに大人になったとしても私達の子供でいてくれ
微かに残っていたわだかまりが氷解していくようにフィリップはマックスを抱き寄せた
Isabel:兄さん・・
Max:父さんに話したよ
隠すつもりはなかったけれど異星人の遺伝子のことは今は話さなかった
Isabel:そうね これで終わりじゃなし
まだ時間はあるわ 私たちは私たちでしかない
パパたちの子供であることに変わらないんですもの
Max:そうだな
マックスの笑顔はこの数年みたことがないほど清々しかった
Isabel:兄さんの、そんな晴れやかな顔久しぶりに見たわ
ほら、リズが待っているんでしょ
早く行ってらっしゃい
マックスは少し照れたような笑顔を残しCrashdownに向かった
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
Max:リズ
バルコニーから下を見るとマックスが立っていた
Max:そっちへ行っていい?
Liz:もちろんよ・・なんだか懐かしいわ
あなたと出会ったころみたいね
いま日記を読み返していたの
この場所でいろんなことがあったわ それも今日で終わり
Max:またふりだしに戻ることになるかもしれない
Liz:違うわ 未来はもう変わっているの
ここで未来のあなたと会ったこと話したでしょ
私達は19歳で駆け落ちなんてしなかった
なにもわからないまま逃げることはしなかった
Max:あぁ、そして僕らにとって大事なものは、ずっと変わらなかった・・
ここへ来る前に父に僕達のことを話してきた
全部を伝えることはできなかったけれど理解してくれたと思う
Liz:明日があるわ、そしてその先の未来も
マックス、急がなくても大丈夫よ
言っておかなければいけないことが私にもあるの
調べてみてわかったことだけれど私の体内のカドミウムX量は減少せずに
むしろ以前より増えているの
それもたぶんパワートライアングルと関係していると思うわ
Max:身体は大丈夫なの?
Liz:前みたいな痛みがあることはないわ
それに今の私はあなたと共有できるものが増えるなら歓迎するわ
Max:リズ・・こんなときに言うべきじゃないのは、わかっているけれど
どうしても伝えておきたいんだ
辛い暗闇の中でも君は希望の光のように輝いていた
ずっと僕の側で輝き続けていてほしい
これが終わったら・・結婚しよう
もう待つのは十分だ
Liz:未来のマックスと結婚式のダンスをここで踊ったの
・・でもほんとは現実のあなたと踊りたかった
Max:それが答え?
Liz:イエスよ、マックス
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
マイケルとマリアは無言のままアパートに戻った
口を開くと不安が呼び戻されそうだった
Michael:マリア 頼む、何か話してくれ
Maria:だめみたい・・話すと弱気虫が出てきそうなんだもの
Michael:そうだよな・・・僕だってそうさ
こんなときこそお前をどこかに閉じ込めて1人で行くべきなのに
無理に危ないところへ連れていこうとしている
僕は間違っているのかもしれない
でも君を1人にしたくない いや、僕がなれない・・
まるで自分の一部を置いていく気がする
まったく情けない奴だよな・・
Maria:マイケル・・きて
マリアはマイケルの手をとりベッドに横になると
あの土砂降りの雨の日、マリアに救いを求めに来た日のように
彼の頭を撫でながらいった
Maria:ちょっと大丈夫になってきた
ねぇマイケル もう頑張ることないわ
なさけなくたっていいじゃない
見かけによらず傷つきやすいの知ってるんだから
あんたの涙を知ってるのはあたしだけじゃないの
大丈夫、あたしが側にいてあげるから
いつもの軽口に戻っても、ちゃんと笑えているかな、あたし・・
マリアはマイケルの背中に寄り添った
Michael:いっしょにいたってお前が危険なことは変らない
Maria:あんたが守ってくれるって信じてるから
・・でも、もしあたしが消えちゃったとしても泣かないでよね
マイケルは髪を撫でていたマリアの手を掴むと体を入れ替え
怒ったような瞳で彼女を見下ろした
Michael:今なんて言った? 誰が泣くって!?
そんなこと絶対してやるもんか
マリア、簡単にあきらめるなんて許せるもんか
僕が引きずってでも蹴飛ばしても連れ戻してやる
なにいってるのよ
それって、みんなあたしがあんたにしたことじゃない
掴まれた手首が痛いよ、マイケル・・
そんな哀しそうな目でみつめないで
あたしだってずっといっしょにいたいんだから
Maria:マイケル、時間まであたしを抱きしめていて
不安が消えなくたっていい
ただ後悔しない勇気がほしいの
これから、ずっと二人でいるために
抱きしめたマイケルの右手からマリアの背中に静かにパワーが伝わっていることに
二人とも気づいていなかった・・
〓Pod Chamber〓 通信機が洞窟の入り口を指し示した
岩山に銀の手形が浮かび上がり中に入るとそこには変わらない形のままの
グラニリスが輝いていた
Langley:さて諸君、結論はどうするか決まったか?
Max:出来るなら壊してしまいたい・・
だけど無理なことはわかった
僕達の運命を受け入れる
他の6人は無言でマックスに従っていた
Langley:そういうと思っていたよ
では始めようか
Max:何をすればいいんだ
Langley:「平穏の輪」ポジションをおぼえているか?
Liz:マックス、マイケルを助けたときにリバードッグが書いた
シンボルのことじゃないかしら
Langley:そうだ
ラングレイがクリスタルを差し込むと洞窟の地面に「平穏の輪」の光が浮かび上がった
Langley:グラニリスを中心にして4人が対角線上に立つ、四角を作るんだ
ただしパワーを分散させるためには中心ではなく外側を向くことを忘れないでくれ
マックスはつないでいた手を離しリズを抱きしめると光の輪に向かって歩き出した
マリアがマイケルにkissして背中をそっと押した
マイケルはもう一度マリアを抱きしめマックスの後に続いた
カイルの頬にkissしてイザベルとエバがポジションに立った
ラングレィが次のクリスタルを差し込むとリズの腹部、カイルの心臓近くに銀色の
手形が浮かび上がってきた
マリアの背中にも同じように銀色の光が浮かんでいた
そして・・もう1箇所小さく点滅する星が見えた
Langley:なるほど、そういう方法があったのか
Michael:どういう意味だ?
Langley:今にわかる 確かに宣言したように君は彼女を守ったのだ
さぁ時間がくる 我々も輪の中に加わろう
私を見ないほうがいいぞ 元の姿に戻るからな
リズはマックスの右側にマリアはマイケルの隣
カイルはイザベルとエバの間に入った
紋章の点滅が始まった
洞窟の中に光が満ちてくる
ラングレィはグラニリスの下、円の中心にいた
Langley:目を閉じポジションから動くな
パワーは戻る場所を目指してくれる
私が君達と会うことはもうないだろう
最後に忠告しておく
今後、6人は全員でいっしょにいてはいけない
なるべくなら離れていることだ 幸運を祈る
Isabel:どうして・
Michael:そんな重要なこと、なぜ今頃・・
Max:マイケル、イザベル、動いちゃだめだ
ラングレィの声はもう聞こえなかった
紋章の点滅スピードが増し、洞窟内の光に誰も目を開けられなくなった
グラニリスに満たされたパワーがラングレィを含めた7人に向かい線を描き分散した
痛みはなく暖かな光の繭に包まれたように感じた
洞窟に暗闇戻った
そこにはラングレィの姿もグラニリスもなかった
Michael:終わったのか・・・
Max:終わった・・いや始まりかもしれない
Liz:でも何も変わっていないわ
Maria:あたしも大丈夫みたい
Kyle:俺も
Max:僕たちの力がどうなったか試す必要なんてないよ
ほんとうに必要になったときにきっとわかるだろう
Isabel:帰りましょう
私達を待っている人たちのところへ
岩山は何事もなかったように、そのままの姿だった
弧を描き星が流れた
Kyle:流れ星って確か幸運の印だったよな
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
Michael:これからどうする?
Max:ラングレィの最後にいったこと
全員がいっしょにいればグラニリスが存在していたときと同じ結果になるという
ことを指しているんだと思う
Michael:参ったな
僕らがこの町にたどり着いたときは、いっしょいることで身を守ろうとしていた
それが今度はいっしょにいると危ないか・・
Isabel:もう、そうしてきたでしょ
離れて暮らすことはお別れじゃないんですもの
Maria:そうね、これで二度と会えなくなるわけじゃないわ
Kyle:クラブの結束はこれでもっと強くなっただろう
どこに住もうが忘れることはない
Ava:じゃ、そろそろあたしは行くよ
Kyle:どこへ行く気だ? パワーの一部を引き受けたのに
そんな寂しいところへ帰ることはないだろ
Ava:覗いたの、あたしの気持ち・・
Kyle:仕方ないだろ
まだコントロールができないんだって
逢ったばかりでなに言ってるんだこいつと思うだろうけれど
なんか守ってやりたくなるんだ
ずっと1人で寂しかったよな この町にいろよ
Ava:そんなこと言われたの初めてだ
あたしの仲間はお荷物扱いしかしてくれなかったし
・・そうしたいな
でも、そのためには片付けなきゃいけないことがあるんだ
ザンにちゃんとお別れいってくるよ
Kyle:ザンって誰だ?
Maria:死んじゃったけどマックスの分身
エバの彼だったみたいよ
Kyle:そうか
それで気がすむなら行ってくるといいよ
ちっぽけな田舎町で待ってる奴がいること忘れないでくれればいいけどなぁ
忘れちゃってもいいか〜
Maria:馬鹿ねぇ
どさくさにまぎれて愛の告白しておいて弱気になることないじゃないの
エバが迷うじゃないの
Kyle:だけどさ・・
Isabel:守りたい人を待つなんてバッジがなくても保安官になったみたいね
エバ戻ってらっしゃいね
Ava:うん、行ってくる
エバはカイルの側に歩み寄るとカイルの手を取り、うつむいたまま、そっと心の中でつぶやいた
『戻ったら、お帰りっていって・・』
カイルは返事の代わりにエバの手を握りしめた
6人はエバを見送った
遠くにロズウェルの町の灯りが見える
見つめる6人の胸で一度だけ星が瞬いた
空が白みかけてきていた また、いつもと変わらぬ同じ一日が始まる
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
+++Epilogue+++ 数年後・・
天文台に小さな男の子と若い父親がいた
壁にかかっていた星座をみつめていた男の子がいった
Boy:ダディ 「フルサト」ってここ?
Dad:それは別の惑星だよ
宇宙旅行するわけじゃないんだぞ
・・ん?
男の子が指差していたのは最近発見されたAntarの写真だった
Dad:どうして、そこっだって思うんだい?
Boy:うんとね、前に聞いたことあるんだ
夜に目がさめてちょっと寂しくて泣いていたら
細っこいお兄ちゃんが来て教えてくれたんだよ
『君とダディはママを守った強いナイトなんだ
泣いちゃおかしいよ
もし寂しくなったらあの星を見てごらん
きっと君に力をくれるよ ダディの故郷なんだから・・・・』
アレックス、ありがとう
君はいまも僕たちを見守っていてくれたんだ・・
マイケルは微笑みながら言った
Dad:もっといいところだよ、ロズウェルは
宇宙船はないけれどUFOセンターがある
他にはなんにもない田舎だけれどママと会った町だよ
友達もいる
Boy:そこでママを守るために戦ったの?
父親は男の子の前にすわると静かに言った
Dad:いいか、誰かと喧嘩しても、ちゃんと仲直りするだろ
戦いはないほうがいいんだぞ
Boy:ふぅーん
Dad:わかるか?
Boy:えぇと・・よくわかんないや
男の子を抱き上げて肩車をすると父親はいった
Dad:さぁ、うちに帰るぞ
ママが待っている
君はきっと帰りの遅い僕らをいつものように
ちょっと心配そうに待っていてくれる
あの頃と変わらずに・・
愛しているよ、マリア
僕達の故郷へ帰ろう
親子の胸で星が光った
=Fin=