#1 Anniversary

ApplauseToYou

=Previous=

リズはバーバードではなくマックスといっしょにノースウェスタン大学へ進んだ
イザベルはジェシーと共にボストンで暮らしていた
マリアは地元のラジオ局に勤め、今でも時々ライブで唄っていた
カイルは本格的にメカニック技術を学びにユタへ行った
ジム・ヴァレンティは保安官に戻った
そして、マイケルは・・・

Now ■Crashdown■
Maria:半年も後に卒業していながら、奨学金もらって
 飛び級でみんなより先に卒業するなんて信じられるぅ
 うちのママなんて、あんまりびっくりして声も出なかったわ
 セリグマン先生は今でも絶対なんかやったって思っているわよ
Liz:マリアったら、おかしいわよ
 誉めてあげてもいいのに、マイケルのこととなると、どうして1回はけなさないと
 気がすまないのかしら?
Maria:当然じゃないの、そんなこと気にしなくていいの
 そりゃ、あたしだって褒めてあげたいときもあるわよ
 でもダメよ、褒めたりなんかしたら、あいつすぐに調子に乗るんだもの
 「どうだ僕がこの世の中でいちばん偉いんだ」なんてね
マリアはマイケルの真似をしておおげさに手をひろげた

Maria:だから、いいのよ あたし1人くらいちゃんと現実を教えてあげなくちゃ
Liz:いいの? あなたの旦那さまになる人でしょ
Maria:だから〜? マリア・ゲリンになったら、何か変わらなきゃいけない?
 マリアはマリアで、どこも変わらないわ
 ねぇねぇ、それよりベビーのことはほんとにOkなのかな?
Liz:私の大学での専攻忘れたの
Maria:それ真剣に聞いてるの?
 科学と化学の違いも忘れたあたしには無理なことよ
Liz:遺伝子レベルからいえば、心配なことはないわ
Maria:でも突然変異っていうんだっけ?
 元々の姿に戻っちゃうなんてことはないの・・・
Liz:それは、ないわ
 むしろ純粋な人間が生まれる確立の方が高いと思うの
 マックスたちは元々人間の体を必要として遺伝子の混合されているのよ
 配列は人間のものとまったく同じなの
 細胞内の組織変化だけで外見に影響が出ることは考えられないのよ
 第一そのために私は生物学、マックスは医学専攻することにしたんだもの

 そうねぇ、問題になるとすれば成長速度が人間より早いかもしれないってことくらいね
 パワーは脳細胞の活性レベルに関連することだから・・

Maria:ストップ! 頭痛くなりそうな話はもういいわ
 とにかく、劣性遺伝はないわけね
Liz:そこまでいうの? いくらなんでもマイケルに悪いわよ
Maria:だって、あの性格が似たら、それだけで心配だと思わない?
Liz:マリアったら・・そんなに真面目に心配するなんて
 もしかして・・
Maria:いや〜だ、違うわよ
 もしそんなことになってたらママが卒倒するでしょ
 結婚するわって言ったときから、お願いだからお祖母ちゃんにするのだけは
 やめてちょうだいって睨まれたもの
 あんたたちはどうするの?
 マックスには癒すパワーがあるのに医者になるなんて面倒くさいことしたわよね
 リズあんたの能力だって使えるでしょ

Liz:能力っていっても・・
 私の体の変化がこれからどうなるかわからないのよ
 パワーで直せないのに、ほぉっておく訳にはいかないでしょ
 将来必ず必要になると思って選択した道なのよ
 今のまま技術が進歩すれば、マックスたちの遺伝子交換も可能になると思うけれど
 そうするとマックス達3人の存在意味まで失ってしまうかもしれない
 私たちは、そのことでずいぶん苦しんできたけれどだからこそ残したいと思えるの
Maria:そうよね
 あたしたちにとって忘れちゃいけない日々だったものね
 おかげさまで記念すべき人類初の異星人の花嫁よ
Liz:マリアったら・・

Max:おめでとう
Kyle:わかっていたことだけど驚きだよな おめでとう
Michael:やっぱり落ち着かないよ、こういうのは
Kyle:なんでだ。お前たち、いいコンビだよ
 だいたいマリアに正面から立ち向かい続ける、いや受け止めるか・・
 悪いが俺には逆立ちしてもできやしない
Michael:はぁ? それでもお祝いのつもりか
 ま、ありがたく受け取るよ
 マックス、お前は考えたことないか? ここしばらくは何もなかった
 だけど、このまま静かに暮らせる時間が、どれだけ続くんだろう
Max:忘れたことはないさ
 異星人を受け入れられる世界になるのは何十年先になるかわからない
Michael:僕たちの存在理由・・か
 心のどこかには絶対忘れちゃいけないことだと、わかっていても見たこともない
 故郷の星での人生よりも、ここで過ごしてきた時間が今は貴重さ
 僕たちにとっての現実はそれしかないんだから
Max:その気持ちわかるよ
 おぼえているか 僕たちが真実を知ったのは16歳のときだったよな
 眠っていた50年近い時間は僕たちの体の遺伝子の配合成熟のために
 必要な時間だったんだろう
 突然伝えられたメッセージが異星人ということだけでなく王族の生まれ変わりだった
 大きすぎる宿命に戸惑いながらも、あの3年間の出来事で心が大人になれたような気がする
 自分たちの星の運命を変えることなど何一つできていないけれどな

Michael:時間の感覚も環境も違うその星で、俺たちっていったい何歳で死んだのかな・・
 その時、生きていた自分をもう越えたんだろうか・・
Kyle:おい、おい 二人ともなんて話をしているんだ
 今日が何の日だか忘れたか?お前の結婚式だろ
 バラ色かどうかは知らないが、とにかく俺はうらやましい・・・
 なぁ、なんで俺にはパワーの症状が出ないんだ
Michael:俺に聞くな
 筋トレのせいで異星人の力も及ばなかったってところだろう
Kyle:なんでだよ
 俺だってずいぶんお前たちの力になって来たんだから少しは恩恵を受けても
 いいじゃないのか?痛いのはいやだけど・・・
Michael:そうだよな お前にもずいぶん助けられた
 気長に待ってみるか一族になるのを・・
Kyle:おい、しおらしいこと言うなよ


Isabel:マリアおめでとう
Maria:イザベル!来てくれたんだ
Isabel:当たり前でしょ
 ほんとなら、私が準備してあげなきゃいけなかったのに
 私の結婚式のときは、あなたたちに助けてもらわなければあきらめていたかも
 しれないんですもの
 それにしてもCrashdownをパーティの場所に選ぶなんてあなた達らしいわね
Maria:すべては、ここから始まったんだもの
 一番ふさわしい場所でしょ   なんていったって料金は格安だし、どこもかしこも異星人だらけ〜

幸せな笑いが部屋中に広がった
Isabel:マイケルの心を開かせたのはあなただけよ、マリア
 私も兄さんも家族のつもりだったけれど結局マイケルの気持ちを
 わかってあげられなかったわ
 あきもせず、よく喧嘩していたわよね
 私には子犬がじゃれあっているみたいにしか見えなかったわ
 マイケルはそれだけ素直な気持ちでいられる場所を見つけられたのよね
 マリア、マイケルにとってあなたに代わる人はどこにもいないわ
 最初にあなたをハニーと呼んだあの頃からずっとね・・
Maria:ありがとう すごく嬉しい
 認めるのはちょっと悔しいけれど・・正直あたしもそうだっただけなの
Isabel:そう言ってくれると嬉しいわ
 大丈夫よ、マイケルが主導権を手にする日は来ないわ  私が保証する じゃ、後でね
イザベルはマリアを抱きしめるとその場を離れた
Liz:マリア、私も行くわ
Maria:リズ・・・ イザベルがいた時には言えなかったけど・・・
 アレックスに見せたかった・・
 あたしアレックスに、ものすごく逢いたい
Liz:ほんとうね
 きっと見守っていてくれるわ
 ほらほら花嫁がそんな顔していちゃだめよ

涙が浮かびそうなマリアを抱きしめながらリズもアレックスの笑顔を思い出していた


『マリア・・・マリア 僕ならここにいるよ。おめでとう』
Maria:えっ?
鏡に映るマリアの姿の後ろに17歳のままのアレックスが見えた
Maria:アレックス!!
 幻でも幽霊でもなんで早く逢いに来てくれなかったのよ
 あたし達さよならもいってないのに
 あたしやリズがどれだけ悲しんだか・・イザベルだって・・
 あぁ、ごめんね あんたが犠牲になったんだってこと忘れてちゃってた・・
 だってあたし達は小っちゃい頃からずーっといっしょだったよね
 ここにいてくれないのが寂しい

GhostAlex:『あれ?何言ってるんだか
 僕は空気みたいなもんで彼らに出会った時からマイケルしか見ていなかったくせに
 僕はマックスたちに会えて楽しかった
 宇宙船にも乗れない時代に他の星の友人がいるなんて僕たちくらいだろ
 人がどう思おうが、こんな中身の濃い人生をおくれる人間はいないよ
 それよりでっかい目の赤いスニーカーのおちびちゃんが、こんなにきれいな花嫁になるんだ
 まったく驚きだよ』
Maria:だけど、あんたの時間はあの日に無理やり止められちゃった
 永久に17歳のまま・・あたしたちが巻き込んだからでしょ
GhostAlex:『ねぇ、ないしょにされていた方がよかったと思う?
 それで僕たちの友情が続いていた?』
Michael:マリア・・まだか そろそろ時間だぞ
 お前・・アレックス・・なのか

Maria:あんたにも見えるの?
Michael:あぁ・・本物だよな  なにしろ幽霊なんて初めてお目にかかった・・
Maria:あたしだって初めてよ
 リズみたいな力がないんだから
GhostAlex:『まぁまぁお二人さん 僕が想像の産物か本物かなんてどうでもいいよ
17歳のアレックスが呆れたように見ていた
GhostAlex:『2人ともほんとにおめでとう
 マイケル、マリアのこと幸せにしてやってくれるよな
 もし泣かすことをしてみろ 幽霊だって殴りにいくぞ』
Michael:あぁ、お前のパンチは1度で身にしみているよ
 お前っていい奴だよな
GhostAlex:『今度その言葉を言ったら蹴りを入れてやるって言ったはずだぞ
 失敗だったな 君が吹っ飛ぶところをもう一回くらい見ておけばよかった

   さぁ、早くでかけてくれ
 揃って式に遅れる花嫁と花婿はいないよ
 ま、君たちならやりかねないのはみんな知っていることかな』
Maria:また会えるの?

アレックスは微笑み、問いかけに答えないまま消えた
Michael:マリア、僕は神様も霊も信じちゃいないけれどアレックスの魂が
 お前やリズを見守っていることは信じられる
 だからアレックスに誓うよ 僕は君だけを愛している
 これからもずっとだ さぁ、行こうか
Maria:うん
 あたしは神様を信じているわ
 だって マイケル、あなたに逢わせてくれたんだもの
 あたしも愛している

二人の姿はドアの向こうに消えた
アレックスが満足そうに見送っていた

☆GhostAlex・☆・☆・☆
 僕は知っているよ
 すぐに君たちみんなに家族が増える
 子供たちは君たちに見守られて僕らが立ち向かった宿命なんて厄介なものを
 忘れ新しい未来を作ってくれる
 僕はそんな日を楽しみにしているんだ・・



3years ago ■Crashdown■
Maria:今日はもう上がりでしょ
 後からアパートに寄るわね
Michael:待ってるよ
マイケルはマリアにkissすると先にクラッシュダウンを後にした
しかし向かう先は自分のアパートではなくマリアの家だった

Michael:こんにちは
Amy:マイケル、入ってちょうだい
 マリアには言ってないわよね
Michael:今日はまだCrashdownです
Amy:あなたに用があったのよ、座って

マイケルは何をいわれるのか不安なままソファに座り左手の指輪を触っていた
Amy:うちに来るのは久しぶりよね
 私も留守にすることが多かったから
 その指輪の意味は、あの子から聞いたわ
 あっ、別に反対するために呼んだんじゃないから安心して
 あなたに初めてあったのはUFOコンベンションの時よね
Michael:最悪の第一印象だってマリアに言われました
Amy:あら2人で寝ているのを目にした朝に比べればましだったわよ
 何しにいくつもりだったのか嘘ついて2人でアリゾナに行っちゃったし 
 飛んでいってあなたを殺さなかったのが奇跡的だわ
 ともかく、あなたのことではマリアだけじゃなく私まで一喜一憂
Michael:すみません
 でもあの時は本当に・・
Amy:冗談よ わかってるわ
 あなたは最初から私たち親子をちゃんと助けてくれたじゃない
 プロのレスラー相手に戦うなんて無茶するのはあなたくらいよ
 苦労して育ったこともマリアから聞いているわ
 アレックスの事故のとき、私もあの子もあなたがいてくれて本当に救われたわ
 あの子の父親のことは知っているわよね
Michael:マリアがおぼえていることだですけれど聞いています

Amy:そう今のあなたたちと同じ年だったわ
 愛だけで生きていけると思っていたし、自由に憧れる時代だったのよ
 夢だけでは食べていけないのに気づいたとき、あの人は姿を消していたわ
 だから言っておきたいの
 あなたの年齢で自立して生活していることは偉いと思うわよ
 でも1人ならなんとかなっても、将来2人で生活するためには今のままじゃだめよ
 まずは、高校を卒業なさい
 その間にちゃんと将来のことも考えるのよ
 学費は私がなんとかしてあげる
Michael:でも・・
Amy:あら遠慮なんていらないわ
 私は損をするようなことはしないの
 将来ちゃんと利息つけて返してもらうわよ
 マイケル、マリアのためにもあなたの未来に投資したいのよ
 お金のことで私みたいに不幸な目にあってほしくないの
 あなたたち2人を見ていると若くたって信じあい愛し合うことが
 ちっとも悪くないことだと思い出したわ
Michael:・・わかりました
 ちゃんと考えてみます

悲しいわけではないのに何かが心にしみるとマイケルは感じた
誰かに心配されてこんな風に感じることなどなかった
そもそも他人に心配されることがなかった

Amy:あ、あとひとつ
エミィが帰りかけたマイケルを指で呼び戻した
Amy:あなたたちの関係がどのへんまで進んでいるかは知らないふりしていてあげる
 だけど、いい私をお祖母ちゃんにしたら許さないわよ

親子って性格が似るものなんだな
マイケルに微笑みが浮かび心が温かくなった

Now ■Crashdown■
Valenti:マリア、もうすぐ高校も卒業か
Maria:あらたまって、何?カイルだってそうでしょ
 1人だけ、あやしいのがいるけれど普通はそうでしょ
Valenti:うむ、そうだな
 みんな、だんだん大人になっていく
 その、マイケルとのことを聞いたんだが・・
Maria:あっ、そのこと心配ないわよ
 あたしはママを見ているもの
 (小声で)それとも例の問題のこと?

Valenti:いや・・どうもうまく言えないものだな
 私は男の子しか育てたことがないから
 2人のことは君たちが考える問題だとわかっている
 彼らは確かに特別の問題を抱えているが私はそんなことは心配していない
 途方もない試練をみんなで乗り越えてきたことも知っているし、私自身が
 助けられてもいる君たちの絆を考えれば自然のことだと思っているよ

 あえて普通の親の立場で言わせてもらうなら急がないできちんと生活の基盤を
 作ってほしいということだな
 君たち1人1人が自立していくことは寂しいが当然のことだ
 だが今は無理をしないでくれ
 もし、この町を離れなければならなくなったとしても私はいつでも力になるつもりだ
Maria:ママみたいに突然、駆け落ちなんかしないから心配しないで
 将来のことでしょ マイケルと一度ちゃんと話してみる
 ありがとう、保安官
Valenti:私はとうに保安官じゃないのを忘れたみたいだな
Maria:いいえ、あたしたちにとっては、いつまでも頼りになる保安官よ
 ママだってそう思っているわ

パパがいたらやっぱりこんな風に心配してくれたのかな・・
ママのお説教は聞き飽きているけれど、なんだかうれしい

■Michael's Apartment■
部屋の中にキャンドルが灯っている
Maria:マイケルいるの?
 また電気代払い忘れたでしょ
ソファに座っていたマイケルがマリアに手を伸ばし黙って腕の中に引き寄せた

Maria:どうしたの?何かあった?
マイケルの腕に力が加わった

マリア・・・お前のためにできること
目の前に与えてもらったチャンスを手にすることだよな
未知の星で一生を終えたはずだった僕がこの星で甦りお前に出逢えた
愛することの意味を教えてくれた

マイケルの暖かい感情がマリアの指先まで届いていた
Maria:何もいわなくていい。あたしはここにいる・・
マリアはマイケルの背中を優しくなでそっとkissした
キャンドルの炎が2人の心を暖かく照らしていた

〜*〜Restaurant〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*
Amy:ジム、乾杯しましょうか
Valenti:あの子達の未来にかい?
Amy:ついこの間まで子供だと思っていたのに
 こんな日が来るんですもの
 私たちも年を取るはずよね
Valenti:君は今でも十分魅力的だよ
Amy:無理してくれなくてもいいわよ
 いいわよね、男は、どんな若い子でも探せるでしょ
 ロズウェルの町にいる限り私には希望はないわよ
Valenti:うむ・・ステーシーのことなら苛めないでくれ 終わったことだ
 実は彼女は若いころの君に少し似ていたんだ・・
Amy:あら、そう? その話は別のときにじっくり聞かせてもらうわ
 とにかく乾杯しましょ 雛鳥たちの旅立ちにね
Valenti:そうだな
2人はグラスを合わせて微笑んだ

=To be continued=