#12 Differs with Destiny

High Speed Turn

Max:僕達の星は、どんな感じだった
Michael:僕達の夢によく出てくる砂漠みたいな感じだな
 あれは家っていえるのかな
 居住空間は岩山のような、僕らが生まれた洞窟みたいなところだ
 物体の分子構造の変化させるのが当然のことだから
 室内は殆ど何もない、まるで無機質な研究室のようなものだった
Maria:あんたの部屋はおかしなものがありすぎだもの
マイケルがマリアを睨んだ 無論それに怯む素振りなどマリアにはない
いつもと変わらぬ二人だった

Liz:大気も地球と違っているのよね
Michael:あぁ、地球の空気とは成分が違う
 そのままだと人間の細胞は短時間で破壊されかねない
Maria:あんたの身体だって組織は違っていても人間の
 ものなんでしょ、どうしてなんでもなかったの?
Michael:スキンズの外皮をおぼえているか?
 彼らと同じさ、外皮で保護していたんだ
 外見の変化は必要ないから透明だったけれどな
Maria:ふうん・・ねぇ、それさえあったら誰でも本物のあんたの星に行けるわよね
Michael:理論的には、そういうことかな
Maria:やった! さよならする日を心配することない
 リズ、あたしたちもついて行けるわよ
Liz:マリア、いつからそんなこと考えていたの
Maria:あなたと同じ、スペースボーイに恋しちゃったときからよ
Michael:そいつを手に入れる手段はどうする、シャーロック?
 ずっと昔にスキンズたちが集団移住していたんだから
 不可能なことじゃないか
Max:星に本当の平和が訪れていたらだけれど...
 いつかみんなで行きたいね
Michael:マックスちょっといいか
マイケルはマックスといっしょにその場を離れた

二人が側から離れるとリズはマリアに聞いた
Liz:私も聞きたいことがあったの
Maria:何?
マリアはまた胸に手を置きながら聞いた
Liz:それよ、そんな癖なかったわよね
 何か守っているみたいな隠しているみたいな
Maria:両方当たりかな
マリアはリズに手の内側に隠していたものを見せた
Liz:マリア、それは!
Maria:シィーっ マイケルにもまだ内緒にしているんだから
Liz:あんなに自信がありそうだったのは、そのせいなのね
Maria:これで覚悟できたのかな
 リズあんたといっしょだもん
Liz:私のときより凄いわよ
 まだ消えていないんですもの
 カフェであなたたちのkissを目撃した時から
 あなたたちが運命的に出逢ったことはわかっていたわ
Maria:でもあたしは逃げ出そうとしていたわよ
Liz:あなたたちを助けたときに、二人の魂が一つの光の繭の中にいる光景を見たの
 ほら、おばあちゃんが言っていたでしょ
 運命の人とは元々一つの魂だったから
 惹かれあうことに理由なんて必要ない
Maria:クローディアおばあちゃんの思考の中に異星人も入っていたかしら
Liz:どうかしら...でも、おばあちゃんなら驚かなかったわね
Maria:うん...
マリアがおばあちゃんのマネをして言った
 『まぁ、まぁ、なんてことでしょ
  リズもマリアも、どうやってこんな素敵な人を見つけたの!
  あら、他の星の人なの どうりで地球では見かけないと思ったわ』
Liz:マリアったら

Maria:あたしね・・・マイケルがあんな負傷しなかったら別れていたかもしれない
Liz:えっ?
Maria:最初にトレバーからマイケルを帰してくれって言われたの
 笑っちゃうでしょ、あたしの持ち物じゃないのにね
 あいつがどれだけ故郷に帰る日を待ち望んでいたか知っていたのに
 そんな日が来てほしくなかったのよ
 でも、この数日の出来事で別れることが怖くなくなってきたの
 たとえどんなに離れていても...あいつのことは忘れない
 だから...もしマイケルが本当に望むならそうさせてあげようって
Liz:でもマイケルは地球を、あなたを選んだわ
 それで、あなたはお守りって言っていたのね
Maria:そうかな...これが消えないかぎりマイケルはどこへも行かないと
 信じていられそうだったの


Michael:目の前にあった危機は取りあえず去ったな
 それがいつまで続くか・・・だ
Max:僕もそれを考えていた
 なぜ争わなくてはならないのか聞いたときラレックが答えをくれた
 支配欲には終わりがないらしい
 お前も、これですべてが終わったとは思っていないだろ
Michael:僕達をハイブリッドで甦らせた時代から彼らの技術は遥かに進歩していた
 わずかな遺伝子のエッセンスがどこかに残されていたら・・
 僕たちの時と同じようにキバーの復活を望むものがいたっておかしくはない
 それも50年も待つことはないはずだ
Max:また同じ争いの歴史が繰り返される
 人間の世界でも同じだな
Michael:それでもトレバーや他の代表がしばらくは押さえてくれると思いたいよ
 マックス、お前のおふくろさんに会ってきた
Max:そうか
Michael:驚かないんだな
Max:僕もそうすると思っていたから
 僕は間接的にしろ母の人生も変えてしまったんだ
Michael:星からのメッセージを受け取ったのに僕らは
 みんな別の道を歩き出している
 たとえ同じ遺伝子を持っていても前世の通りにはいかないことを
 わかってほしかった
Max:母は・・・理解してくれたのか
Michael:いつもの僕の勝手な判断で悪かったけれど僕達が地球で
 どんな風に生きているかを説明してきたよ
 心配しなくても、きっとまた逢えるよ
 お前が異星人の花嫁といっしょでも驚かないと言ってたぞ
Max:異星人?
Michael:人間のことさ、彼らにとっては異星人だろ
 僕達は持っている力の大部分を取り戻していないそうだ
 これから先のことを考えると思いださなくてはならない知識や能力は
 残されたままだ
Max:地球で生きていく危険性も消えてはいないしな
Michael:簡単に思い出す方法がないか教えてもらおうとしたけれど
 そいつは無理だって
 パワーは内面から生み出されるものだから自己が成長するしかない
 ただ新たな出逢いによって以前にはない効果を生み出す可能性があると言われたよ
Max:お前の変化は成長のせいか?


Liz:マイケル大人っぽくなったわね
 それに髪が伸びているわ
Maria:向こうの星は地球より時間が早く進むらしいの
 あたしとしては少し大人になってもらってありがたいけれどね
Liz:あら、それはどういう意味でなのかしら?
Maria:もちろん、いろんな意味でよ
 二人とも刺激的なkissの虜になっていた頃を思い出さない?
 その先の一歩踏み出したら...なんだかゾクゾクしちゃうでしょ
Liz:マリアったら元気になったと思ったらすごいこと想像してるわね
Maria:あら〜想像したのは珍しいことにリズあんたの方が
 先だったんじゃなかったかしら?
Liz:はいはい認めるわ でも私は、その一歩を踏み出しそびれたままよ
 あなたの方こそどうなの
Maria:不思議なのよねぇ
 止められそうもないくらい熱くなってると思ったら、どういうわけか急ブレーキなのよ

マリアのママとの約束守っていたのね、マイケル・・・
Maria:あたし、何か変なこといった?
笑いをこらえたようなリズの顔を見ながらマリアが聞いた
Liz:ううん、安心したわ
Maria:このまま死んじゃうのかなって思ったとき...ちょっとだけ弱気になったわ
 マイケルといっしょなら、それでもいいかなって思ったの
 だって別れの日を心配することも誰かに狙われることも
 この先なーんにも考えなくてもいいでしょ
 そしたら猛烈に感じたの・・そうしたいって
 今なら、あの時のあんたの気持ちわかるな
Liz:普段では考えられないくらい強烈な感覚だったでしょ
 いいわよ、いつもそうだったもの
 あなたが人類初の一歩を踏み出したとしても納得できそう
Maria:なんて冷静で過激な声援ですこと
Liz:自分で言ったくせに
 そうだわ、この際だから訂正しておくわ
 あなたあの時、私たちのことカマキリに例えたけれど
 カップリングの後、相手を食べちゃうのは雌のカマキリよ
Maria:食べちゃいそうな勢いだったわよ
Liz:ひどーい
マリアとリズの楽しそうな笑い声がマイケルとマックスに届いた


カイルが借りてくれたピックアップの荷台にマイケルのバイクを積み込み
アレックスとイザベルは再びフレージャーの森を目指していた
運転するアレックスをイザベルはずっと見つめていた
Alex:僕の顔に何かついてる?
Isabel:違うわ
Alex:君が僕に見とれるわけないか...
 積み込んだカフェの特製ランチが落ちそうなのかな
アレックスがひとり言のように言った
Alex:それにしてもマリアのリクエストの他にずいぶん積み込んだよね
 ウィルスミスバーガー、月食バーガー、トミーリージョーンズバスケットにブルームーンバーガー
 僕のお気に入りのギャラクシーサンドがあるのは嬉しいけど
 土星フライにスペースフライ..チェリーコーラとポットいっぱいのコーヒー
 カフェのメニュー全部頼むのかと心配になったよ
 これって全部僕たちで食べるのかい?

車は森に入っていた
Isabel:アレックス止めて
Alex:こんなところで? ロッジはまだ先だよ
Isabel:私の側にいてくれてありがとう
イザベルはアレックスに抱きついてた

溢れ出す気持ちが洪水のようにアレックスに伝わっていったね
過去の宿命から逃げる手段ではない彼女の本当の気持ちが、そこにあった
Isabel:あなたが言ってくれたように氷河の氷も解けるわ
Alex:そう、氷河の氷はゆっくりと時間をかけて凍るんだ
 だから溶けるのに時間がかかって当然なんだ
 イザベル、これ地球の温暖化と関係ないよね
イザベルは見当外れの質問に笑顔で答えた
Isabel:温暖化したのは、私よ
Alex:それなら、喜んで溺れちゃおうかな・・・
 おっと、その前にマックス達を迎えに行かなきゃ
 ただし僕達に特製ランチを食べている時間はなくなったよ
Isabel:いいの、朝食が必要な人がいると思って用意したのよ
Alex:朝食?あぁ、そういうこと
Isabel:帰りは兄さんに運転を任せて、私たちは星空眺めたいわ
Alex:荷台は寒いよ
Isabel:あなたがいるでしょ
Alex:なるほど・・温暖化だ


3日間の出来事を忘れたように会話するマリアとリズを見ながらマイケルが言った
Michael:女たちは強いよな
 お前のおふくろさんも強かった
 直接関係ないことだから、お前には言わないでおこうかと思ったけれど
 僕とイザベルとのことさ
Max:お前とイザベル? あぁ過去の婚約のことか
 今のお前たちに、そんなつもりは全然ないんだから気にすることはないだろ
Michael:たとえ僕達がそうだったとしても、星では過去が生きている
 母上殿の迫力は凄かったぞ

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QueenMother :私の娘よりも、なんの力ももたない人間の方が
 大切だというのね
Michael:人間に表面に出せるパワーはありません
 でも心の奥にあるパワーは僕達よりも遥かに大きな力を持っています
QueenM:ここの暮らしや地位を引き換えにするほどの魅力があると
マイケルの心の奥を探るような視線が突き刺さった
Michael:はい、今の人生を捨てる気持ちはありません
QueenM:そこまではっきり断言されるとは思いませんでした
Michael:イザベルが大切な友人なのは変わりません
 むしろ、過去よりも強くそう感じています
QueenM:確かにあの子はエキセントリックなところがありました
 私たちが決めた婚約におとなしく従わなかったことも事実でした
Michael:僕達と同じようにイザベルも大切な人に巡り合っています
QueenM:その方はあなたより強いというの?
Michael:強い...体力的にではなく誰もが信頼できる強い奴ですよ
マイケルはマリアのために自分に殴りかかってきたアレックスを思い出していた
QueenM:いつの日にかあなたたちがこの星に戻り私に幸福な日々を
 取り戻してくれると思っていました
 しかし今のあなたたちに過去の繰り返しを望むことが無意味なのは
 すでに知っていましたよ
Michael:すべてご存知だったのですね・・・
QueenM:私の力を忘れているようですね
Michael:ご存知の上で僕を試されたのですか?
少し悪戯っぽくマイケルをみつめる瞳はマックスやイザベルに似ていた

QueenM:子供たちには私から伝えます
彼女の手のひらで輝く石が光を放っていた
Michael:ナセドが持っていた石みたいだ
 その石はなんなのですか?
QueenM:確かスーパーマンはグリーンクリスタルから秘密のビジョンを
 見せられ出生の秘密と能力と使命を伝えられたのではなかったですか
 これをあなたに預けます
5個の石をマイケルに渡すと彼女は別れの言葉を残さずに背を向け立ち去った
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Michael:どういう風に使うのかは教えてもらえなかった
 これであの通信機を使えってことかな
 どっちにしても僕には必要ない
 お前が必要だと思ったときにイザベルと二人で試してみろ
石の入った袋を受け取ると、その重さに母の愛情を感じられた
Max:強い人だったんだな
Michael:暖かくて芯が強くて・・・
 なんだか、どこか僕達が惹かれる女の子に似ている気がするよ

Maria:ねぇ、お腹すかない?
マリアとリズが声をかけた
Michael:な、だろう・・
ロッジのドアがノックされた
Alex:お待たせ!カフェ特製ランチの御用はないですか?
Michael:お前が神様に見えるよ
Alex:は?

ロッジの中に午後の日差しが眩しく差し込んでいた

=to be last story=