#6 Fall in true Love

High Speed Turn


ΨFrazier Woods LodgeΨ

Liz:マリア!
Maria:リズ!アレックス!どうしたの?
Max:二人が僕と交代にここへ来るってさっき言ったよ
Maria:そうだっけ・・なんだかまだボーっとしてるから
マリアはマリアのままだった
少しあきれながらリズとアレックスは安心していた
Liz:マックス、みんなのことが心配よ
 車をこの間のところへ止めてきたわ、早く町へ戻って
 イザベルはテスといっしょにカイルのところにいるわ
Max:アレックス
Alex:わかってるよ

マックスの背中を見送る3人は不安な気持を打ち消そうとしていた
いままで知らずに来た彼らの星のことが身近に迫り運命を変えようとしていた

Maria:ね、小学校の初めてのキャンプを思い出さない?
Liz:3人だけなんて久しぶりよね
Alex:忙しかったのは君たちだけだけど・・
アレックスが落ち込んだフリをしてみせた

現実から逃避しようとしても無駄だった

Liz:マリア話してくれる
 いったい、あなたに何が起きたの?


Maria:あたしにもよくわかんない
 あれに触った途端にどこかへ引き込まれた感じがして
 気がついたら岩山の砂漠みたいなところにいたわ
 あれってマイケルたちの星の光景だったのかな
テーブルの上に置かれた装置を指差しながらマリアが言った
Liz:私とマックスが見つけた通信機に似てるわね
Maria:マイケルやマックスが触っても何も起こらなかったのに あたしだけ狙っていたのかな
Alex:相手はマイケルの兄弟だったんだろう
 マイケルがマリアの言うことに逆らえないのを知っていたんじゃないの?
ボスはこいつだ! なんてね
マリアが言い返してくると予想していたアレックスはマリアが黙っているのに驚いた

Maria:マイケル、もしかすると戻って来ないかもしれないの...
Liz:えっ!
Maria:あの人いろんなこと教えてくれた...自分のことや過去のマイケルのこと
 キバーの計略を阻止するために、マイケルをいっしょに連れて星に帰るんだって
Liz:そんなこと・・どうやって?宇宙船をどこかに隠してあるの?
Maria:今は、そんな旧式な移動手段は必要ないらしいわ
Liz:マリア...
Maria:想像してみてよ
 訳のわかんないところへ突然引っ張りこまれて、いきなり滅茶苦茶なこといわれて
 いくらあたしだって理解不能よ
 パニックになってうろうろしていたら、益々自分がどこにいるのかわからなくなって
 怖かった...本当にもう戻れないかと思った..

リズがマリアの肩を抱き寄せ、アレックスは二人からそっと離れた
Maria:ここへ来てからマイケルすごく優しかったの
 あぁ、もう一生分くらい幸せだって思えちゃうくらい
 リズ、あなたはマックスに助けられたからじゃなく
 彼が人間とは違うことを知ってから恋をしたみたいなものでしょ
 だけど、あたしは誘拐されて、しかたなく一晩いっしょに過ごしてからよ
 かわいそうにマリアはエイリアン・ビームのバイブレーターの餌食
マリアとリズは顔を見合わせて笑った

Maria:それからは、あいつの気持ちに振り回されてばかり..
 熱くなったり、我に返って冷静になろうとしたり
 でも、それはマイケルの中の人間的な部分だけだったの
 ほら前にマイケルが宇宙熱で危なかったとき、みんなで助けたことあったでしょ
Liz:えぇ..でも私は怖くてみんなの輪に加われなかったわ

Maria:それはあなたが異星人と知ったマックスを心配していたからよ
 "スペースボーイ"だなんて軽く口にしていたって、あたしは人間としてのマイケルを助けたかっただけ
 マイケル、あたしの前でパワーを使わないの
 最初に頼んだとき、あたしの車を燃やしちゃったからコントロールできないのを見られたくなかったのかな
 それとも、あたしの気持ちに答えて普通のボーイフレンドになろうとしてくれたのかしら・・

 去年ローリーの家でガンダリウムと戦ったときも
 昨日の夜、自分のケガを癒したときも... あたしがパワーを使ってと頼んだのよ
 笑っちゃうでしょ、いつもギリギリ危ないときばかり
 手のひらだけで問題を解決しようとしないでって、あたしが言ったことを
 マイケルはちゃんと憶えていてくれた
 不思議よね、初めて異星人の部分を含めたマイケルが好きなんだって実感できたわ
 馬鹿みたい、もしかすると、もう逢えないかもしれないのに遅すぎたわ...
Liz:そんなこと考えないで、マイケルはきっと戻ってくるわ
 あなたに黙っていなくなったりしないわよ
Maria:リズ、重要なこと忘れていない?
 マイケルは本当の戦場に行ったようなものなの
 たとえ過去に持っていた能力を取り戻していても命の保証は絶対ではないの...
Liz:あなたは、それでもマイケルを行かせた
Maria:あいつの背中を押してあげられるとしたら、あたしだけだって思ったから
Liz:マリア・・今のあなた、すごく綺麗だわ
Maria:えーこんなヨレヨレでTシャツ姿なのに?

マリアは自分が泣かずに話せることが信じられない気持ちでいた
いつもの自分なら大騒ぎしてマイケルを引きとめようとしていただろう
まるで正反対のことをしている自分が別人に思えた

マイケルはきっと戻ってきてくれる、楽しい休暇はまだ始まってもいないんだもの
迷っているあたしに、あんたのお兄さんが言ってくれた
過去の婚約は政略的なものでマイケルが
こんな風に誰かを愛したことは一度も見たことがなかったって
ごめんね リズ これはあたしだけの大事な秘密だからまだ話せない
ぼんやりとした記憶がマリアの中で徐々に事実として甦っていた

Liz:マリア着替えたほうがいいわ
Maria:そうね、1週間くらい遭難していたみただわ
Liz:ねぇバックパックに、何を入れてきたの?
Maria:いろいろとね、なにかと役にたったわよ
Liz:バイト代のほとんどを洋服に使っているあなたが、それ以外を詰め込んでいる姿なんて
 信じられなーい
リズはマリアの真似をして大げさに驚いてみせた
Maria:こんなことまで予測していたわけじゃないけれど
 着替えより必要だとおもうものがたくさんあったのよ
 これはマイケルと付き合ってなければ、わからないと思うわ
 それにバックパック1個だけって言ったのはマイケルなんだから
 マイケルの前で裸で洗濯してやるわと覚悟してきたもん
Liz:やだ!まさか本気じゃないわよね
Maria:意外と本気だったりして ふふ、どんな顔しただろうねマイケル
 現に昨日あいつのジーンズ脱がしたちゃったわよ
Liz:そうだわ! 昨日のことは、まだ聞いていなかった
 いったい何があったの
Maria:やーよ、教えない
Liz:意地悪ね
Maria:意地悪ってなによ、あんただって異星人とのファースト・コンタクトは秘密にしていなかった?
Liz:それとこれとは別でしょ

窓辺で二人の会話を聞いていたアレックスは幼馴染みの
可愛い強さを頼もしく感じていた




Ξ UFO Center Ξ

Larek:遅いぞトレバー
 キバーはもう動き出している
Trevor:予想どおりだな
 今度こそ、あいつを引っ張りだせる
Larek:そうだ、あれほど用心深く、会議にも代理しか送ってこなかった
 待ち望んでいた機会がやっと訪れた しかし、それは奴が本気だという証拠でもある
Trevor:わかっている セロやカーサナ、その他の星の代表たちに事前に同意を取ったのはそのためだ

そんな二人のやりとりを聞きながらマイケルは不機嫌そうに黙って見ていた
Larek:キバーの横暴な行動には誰もがうんざりしていた
 このチャンスを逃したら次はない
 それより作戦を決行するために必要なラスのパワーが心配だ
今はラレックとなって話すブロディを睨むようにマイケルが言った
Michael:そんな名前で呼ぶな!僕の名前はマイケルだ

彼の存在を忘れ、話していたトレバーもマイケルの不機嫌さに気がついた
Trevor:悪かった まだ、ろくに説明もしていなかった
 そんなに不満なことだったのか?
Michael:どうせ、おまけみたいに考えていたんだろう
Trevor:そんなつもりはない
Larek:ふ..この身体の持ち主と関係があるのさ
 この際、甘っちょろい問題は忘れてもらいたい
 安心しろ私はこの身体の人間と違うからもともと地球人に興味はない

Michael:ブロディのことなんか気にしちゃいないさ
 妙な勘ぐりは迷惑だ
 そんなことより僕が何をするのか、早く教えろ..

Larek:そうかな まぁいい、コンピュータールームに来てくれ
Trevor:シュミレーションの準備は?
Larek:すべて完了している
マイケルはジーンズのポケットに両手を突っ込み不機嫌なまま二人の後に続いた


⊇Liz's Terrace⊆

カフェはUFOセンターと通りを挟んだ向かい側だった
保安官からマイケルがトレバーとセンターに向ったことを聞き、バルコニーを天文観測の
宿題のために使うことにしたと言うのはリズが残した作戦だった
バルコニーからはイザベルとカイルが、UFOセンターの前には保安官とテスが中を覗っていた
Kyle:親父から連絡だ
 まだなにも動きはないらしい
 マックスはまだか?
Isabel:もう来ると思うわ
 少しでも中の様子が見られたらいいのに..

Kyle:イザベル、例の力は使うなよ
Isabel:接触していることに気づかれてしまうもの
 無駄なことはしないわ
Kyle:なら、いいけどさ
 彼らはマイケルに何をさせるつもりなのかな
Isabel:マイケルに特別な力があるなんて知らなかったわ
 兄さんならNYのことがあるから何か心当たりがあるかもしれないけれど
 私には想像もつかないわ
Kyle:だよな..俺なんて物を壊すかギャンブル絡みしかあいつの力見たことない

Tess:ここで待るだけでいいのかしら?
 ドアのロックなら解除できるわよ
Valenti:彼らが君たちの同胞ならマイケルに対して手荒なマネをしないだろう
 中に入るとしてもマックスが戻って3人が揃ったらにすべきではないか

Daff:で、今度は何が襲ってきたわけ?
Valenti:ダフ捜査官..なぜここに
Daff:休暇よ..と言っても信じないかしら
 突然、あなたは私に不思議な調査を依頼して来た
 去年の事件に関わった以上、黙って見過ごすわけにはいかないわよ
 ただし、個人的興味としてだからご心配なく
Valenti:うむ..それで何かわかりましたか
Daff:あなたもご存知のFBIの特別部署の資料は表向きにはすべて処分されていたわ
Valenti:ピアース捜査官の部署ですね
Daff:えぇ、エイリアンハンターと呼ばれていたところ
Tess:残っていたものなら、もう処分されているはずよ
1年前のピアースはナセドが成り代わっていたことを捜査官は知らない
Duff:公聴会のあと、部署そのものがなくなったけれど、保管書類がすべてないなんて
 おかしいのよ それも関係あるの?
 それとも聞かないほうがいいことの一つかしら?
保安官は答えなかった
Duff:まぁいいわ 関係があるかもしれない記録があったわ
 このセンターは過去に軍の保管庫として使用されていた記録があったの
Valenti:それは・・未確認の墜落のとき話ですか?
 あなたは墜落時の遺物が保管していた可能性のことを
Daff:あなたもそう考えるでしょ?
『答えは僕が聞いてきます』
後ろからマックスが声をかけた


Michael:そろそろ作戦ってやつを聞かせてくれていいんじゃないのか
 なんだか僕が主役らしいし
Trevor:僕たちには他の仲間にはない能力がある
Michael:僕にか? マックスの間違いじゃないのか
Trevor:はるか昔には星の誰もが持っていたパワーだった
 君たちも物体の分子構造を変化させられるな
 しかし元の要素から別のものへ変化させているわけではない
 だからすぐに復元可能だ 外見を変身させるのと同じ原理だな
 僕達は構造そのものを物体のもつ、別な形に変化させられる
 物体組織を元素化するといえばわかるか?
Michael:わるいもっと具体的で単純な例えができないか
Trevor:具体的で単純な例えなら、液体の水を気体の酸素と水素に分解する
 人間でいえばチミン、アデニン、グアニン、シトシン4つのDNAのだたの固まりに
Michael:パワーで元素化した物体は復元できない...か
Trevor:少しは感覚が甦ったか?
Michael:そんなことを自分が出来たことに実感はないけれど
Trevor:もちろん1人で出来ることじゃない
 戦いの最終手段だから一度のタイミングしかない 
 相手が静止している物体ではないから、そのタイミングを掴むのが困難だ
 極限の集中が必要になる 平然とやってのけた
 戦いが困難なほど、「ゴミ掃除行くかな」と笑って出かけていった
Michael:無鉄砲なのは先天的だったんだな
出逢ってから始めて二人に笑みが浮かんだ
Larek:ラス、いやマイケルだったな
 君に元通りの感覚が戻っているか、ここでシュミレーションをする
 実際の作戦では失敗は許されない

ラレックが取り出したのはマリアを危機に陥らせたあの装置だった
Max:僕も見ていていいか
マックスがいつのまにか入り口に姿を現していた
Larek:そろそろ姿を見せるころだと思っていたさ
 君の力が、すべての戦いに終止符を打つことになるだろう
 それもプログラムしている
 そこの二人、さぁスタートだ!

装置から発せられた光の渦が4人を包むとマイケルは見知らぬ場所にいた
Michael:衛星が三つか..あの赤いのは水なのか?
 岩だらけで砂漠みたいだ
Trevor:地球人のように建造物を作る習慣がないから
Michael:僕らが生まれたのが洞窟なのに納得したよ
Larek:トレバー、次のパターンだ
Trevor:ok!
周りを他のエイリアンたちが集まってきた
実際の姿というよりもオーラが集まってきているのを感じていた
次の瞬間、マイケルは自分が室内にいるのに気づく
Trevor:このグループのリーダーがお前だった
Michael:リーダーはマックスだろ?
Trevor:ザンは星のリーダーだ

マイケルが名前を言い直させようとした途端、ラレックの声がした
Larek:余計な説明は時間の無駄だ
Trevor:了解 次のステップへ
目の前の光景が変化しキバーの姿が見えた
Trevor:ここからが勝負だ 奴のパワーは強いぞ
 ホログラムだと思って油断も遠慮もするな
Michael:シュミレーションでもこんなところでパワーを使ったら
 UFOセンターが吹き飛ばないか?
 それに僕には何をすればいいのかわからない
トレバーがニヤリと笑った
Trevor:この建物はチタン合金でできている
 パワーを使っていること自体がシュミレーションなんだ

普通に神経を集中して考えろ
 次にすることが思い浮かぶ
 お前は楽しむようにグループの編成を自在に変化させ、攻撃を組み立てていた

本当にそんなことが出来たのだろうか
どこか腑に落ちないままマイケルは神経を集中させた
グループが動き始めパワーの光がキバーの周りで渦を巻く
トレバーはマイケルから離れ反対側に位置を取り攻撃を続けていた
マイケル自身も襲い掛かる攻撃から身をかわしキバーの動きを止めていた

空が急激に暗くなると
キバーの身体がロックされた


Trevor:マイケル!Go!
Michael:まだだ!
マイケルの頭の中で最終スイッチのカウントダウンが始まっていた
右手を暗雲に向けると"0"の表示とともに最大限のパワーを使った
凄まじい風圧が襲い、キバーの身体が陽炎の中で揺れ吸い込まれるように小さな固まりに変化した
ガンダリウムが固体化しているときのようにも、ただの石炭のようにも見えた

Michael:マックス、チェックメイト!
マックスがパワーを送ると火花とともに固まりは
燃えあがり消滅した

拍手が聞こえ風景はUFOセンターに戻っていた
Larek:完璧だな
 君たちの能力はあの頃と少しも変わっていない
Trevor:記憶がなくても体が覚えていたんだろう

マイケルは自分の手のひらを黙ってみつめていた
Michael:これを実行するのはどこでだ
Trevor:気がついたのか..
Michael:答えてくれ、どこでだ!
Trevor:僕たちの星へ戻る
 正確な言い方をするなら星の近くの、ある次元の中だが..
Michael:やっぱり
Max:地球上ではないのか?
Trevor:それでは重力がかかり過ぎるんだ
 地球を破壊しかねない
 マイケル..マリアはわかってくれた
Michael:あいつに、そこまで話したのか!?

マイケルの頭に涙を浮かべながら強がって微笑むマリアの顔が浮かんできた
君は心の中でそんな顔しながら、行って来いって言ったんだな...
Michael:少しだけ1人にしてくれないか
Trevor:わかった 出発は30分後だ
トレバーとラレックはその場を去っていった

Max:本当に行くつもりか?
Michael:しょうがないだろ
 これが出来るのは僕だけだって言われたらな
Max:お前1人だけを危険にするようなことはしたくない
 僕もいっしょに行くよ

Michael:シュミレーションを忘れたか?
 最後に封印するのはお前だ
 それに他のみんなのことも考えてくれ
 ちょっと疲れた..30分後には出発だそうだ
 悪いけれど1人になりたい...
マックスは今まで以上にマイケルの複雑な感情を感じられた
Max:必ず戻って来いよ
Michael:あぁ

マイケルは背中をむけたまま答えた

= to be continued =