本当に自分に出来るのだろうか?

まるでゲームのようで実際の戦いは想像できない
タイミングを間違ったら、自分がどうなるのか
なんの痕跡も残さずに消滅するだけか
あるいは大切な仲間を失い故郷の星もなくなる
馬鹿な話だよな、地球は仮の住みかだと思ってた
僕は他の誰よりも本当の居場所を探し自分たち星へ帰る日を望んでいた
自分が進む先が見えなくたって平気だった
なんて言われようが自分の信念と力を信じてきたから

いつまでもはっきりしないマックスのことを、ただ批判してきた
責任を背負わされることは、こんなに重かったのか...
作戦が成功したとしても僕はここに戻って来ることができるのか
星に戻ったとしても受け入れられるのか
僕のいるべき場所はどこにある
僕は...こんな風に迷ったまま戦えるのか...
マリア、君に逢いたい....

Maria:マイケル!
あたし行かなくちゃ
眠っていたベッドからマリアが飛び起きた
Liz:マリア、マリアどこへ行くつもりなの?
Maria:マイケルが..マイケルがあたしのこと呼んでいるの
Alex:マイケルはロズウェルの町にいるんだよ
Maria:ダメ!ほっとけない、迷って悩んで苦しんでいる
あたしを必要としているのがわかる
どうしても行かなきゃ...
Liz:だけど、今からなんて無理よ
車はマックスが乗っていったのよ
Maria:実際に行かなくたって、あれを使えばいいの
マリアは自分が見つけた装置の側に駆け寄った
Liz:それはダメよ!
どんな仕組みなのかもよくわからないのよ
そしてマイケルもマックスもいない この次、あなたの身に何か起こったとして
私とアレックスじゃ助けられないわ
Maria:いいえ絶対に出来るわ
あれは私にだけ使えるの リズ、あなたはマックスのためにNYまで行けたでしょ
アレックス、あなたはイザベルがマックスの夢に入ったとき
迷わないように
連れ戻したじゃない
二人がついていてくれたなら大丈夫よ
お願い、あたしを信じて協力して
マリアの瞳はなんといわれても譲れない信念に輝いていた
Maria:危険なレベルはさっきの経験でわかった
これを使うと血圧が低下して脈の間隔が広がるの
Liz:心拍数が減るわけね マリアやっぱり危険よ
それだけあなたの体に負担がかかることになるわ
Maria:リズ、スキンズが現れたときに違う次元に引き込まれたことあったでしょ
危なくなるのは、あの消える瞬間の感覚なのよ
たぶん心拍間隔が3秒になったら限界だわ
Alex:その装置に生物の知識も詰め込まれていたのかい、マリア
Liz:アレックス、こんなときに冗談なんていわないで

Alex:冗談なんかじゃない
僕はマリアに後悔させたくないんだ
マリアは重要なことに関わりを持ったんだと思うよ
それは君がマックスと通信機を見つけ出したときのことと重ならないか?
この後マイケルに起こることを聞いたろ?
僕達に出来ることがあるなら協力してあげないか
それとも、それがマックスでも君はここにいられるかい?
確かに彼らは異星人だけど、人間でもあることを忘れないで
Liz:そうね...あなたとマイケルも、誰もしたことのないことを最初にしてきたわ
アレックスの言葉は核心をついていた
リズはため息まじりにマリアとアレックスを見て頷いた
マリアはリズとアレックスの手を握り、装置を触ると目を閉じた

Michael:なんて情けないやつだ...
願いが叶うというのに怖さの方が大きいや
マリア、昨日の夜ひとりでどうやって頑張れたんだ・・・
ごめん、楽しい休暇はやっぱり実現できなかった
マイケルは、首のまわりとふわりと包む腕の感覚にハっとした

Maria:なに情けないこといってるの
休暇はまだ終わっていないわよ、スペースボーイ!
振り向くと光に包まれたマリアが微笑んでいた
Michael:どうやってここへ来た?
いや、来ていないな、お前またあれを使ったのか!
おとなしくしているっていったのに
Maria:呼んだのはあんたじゃない 怒る元気があるなら心配することなかったね
映像だけのはずなのにマリアを抱きしめると、彼女の感覚が伝わってくる

Michael:そのとおりだ 正直に言うよ
今は君の無鉄砲さが嬉しいや
Maria:あたしはあんたのラッキーチャームなんだから
マイケル、考えたって答えは出ないわ
あんたの過去にも経験していないことに挑戦するのよ
マリアの言葉がマイケルの迷いを消していく
Michael:温かいなぁ...
Maria:いっしょにいられる間こうしていてあげる
だけど本物のあたしはもっと素敵だと思うな
帰り道を忘れちゃダメよ 損しちゃうから
これが二人の運命だとしたら二人で受け入れよう
明日起こることはまた二人で考えればいい
結果がどうあれ僕たちのどちらも後悔はしないから...
マイケルはずっと探していたもの、これから先の未来へ進む道をようやく見つけた
そして、それはマリアの心にも伝わっていた

残された時間は少なかった
これ以上マイケルを危険な目に合わせたくはない・・・
離れたくはなかった もしそれが出来るなら
マリアは自分の限界が近づいていることを感じていた
Liz:アレックス、間隔は?
Alex:2.5秒!そろそろ合図しなきゃ

Liz:マリア!マリア!
お願い振り返って!
Maria:あたし...もう行くね
Michael:そうだな..1人で帰れるのか?
Maria:1人じゃない
リズとアレックスが帰り道を教えてくれるわ

Michael:それなら安心だ
Maria:見送られるのはイヤ
あたしは1人でもちゃんと行ける
だからあなたも正しいと思うことをして
Michael:もう大丈夫だよ 帰り道は忘れない
Maria:適当に手を抜かないでよ
Michael:信用ないな..
Maria:自業自得よ

言葉にできない想いでいっぱいなのに何もいえなかった
またすぐ逢える
大事な言葉は、その時に残しておくさ
二人は背を向けお互いの進む道を歩き出した
だがマイケルは、また約束を破った...
ドアを開ける前に一度だけ振り返り、真っ直ぐ進むマリアの姿を確認していた
Liz:アレックス、マリアが見えている?
Alex:あぁ、手の感触もあるよ
3秒!リズ、マリアの手を引っ張れ!
Liz:マリア、戻って!
マリアが瞬きをした
Alex:おかえり
Maria:ね!ちゃんと帰ってこられたでしょ
少し青白い笑顔で呟いた


Max:失敗する確率は?
Trevor:成功する確率と同じ
Max:そんな確率で仲間を危険なところへ
行かせろと言うのか
Trevor:マイケルは危険だと思っていないだろう
マックス、気持ちはわかる
僕だって二度もあいつを失いたくはないんだ
それに危険なのは君だって同じだ
僕らはまもなく出発する
地球で我々はパワーの十分の一程度しか使えない
Max:キバーをこっちに連れ出そうとするのはそのためなのか
Trevor:同じ条件下でなければ不利だからな
身代わりのラレックは指示くらいしか出せない
ここにいて戦うのは君1人の力になる
Max:イサベルとテスは?
Trevor:ヴィランドラいやイザベルだったな
彼女の過去が、きっと障害になってしまうだろう
Max:イザベルは過去のヴィランドラとは別人だ
Trevor:たとえ君や彼女がそう思っていても隙を見せることは
敗北につながる
***

Isabel:もう待てない!
さっきの光は、いったい何なの?
保安官、止めても私は中に入るわよ
Valenti:1人の行動は無謀だ

Tess:私がいっしょに行くわ
それならいいでしょ

Kyle:父さん俺もいっしょに行くよ
あんまり頼りになりそうもないけど
カイルに聞こえないようにテスがイザベルに言った
Valenti:よし、10分だけだ
異変があったら3人のうち誰でもいい
私に伝えにすぐ戻ってくれ
***
Trevor:キバーは民衆の支持がほしい
そのために象徴としての君とグラニリスをどうしても手に入れようとしている
Max:見せかけの象徴として必要なんだろう
Trevor:権力を維持するためなら奴はどんなことでもしてきた
Max:だからって力で押さえようとすることは同じ繰り返しになるだけだ

Trevor:かもしれない
だが無駄だとわかっていても止めるわけにはいかない
Max:あなたにも信頼する仲間がいるんだね
Trevor:身勝手だといわれてもしかたない
都合よく君たちのことを頼るなんて...僕も同類だな
Michael:守りたいものは誰にでもある
それで、いいんじゃないのか
トレバー、そろそろ時間だろ
晴れやかな顔のマイケルがいた
Isabel:どこへ行くつもり?
後ろにはイザベルたち3人の姿があった

Michael:みんなに見送らるなんて嬉しいな
何度もこの町を出ていこうとしたけれど
戻ってきたいと思うのは始めてだ
さぁ、片付けてこようか 僕たちを待っているところへ行こう
静かにトレバーを促すマイケルが別人に見えた
イザベルは何も聞くことができなかった
運命の歯車は止まることなく回っていた
最初の事件が起こってから、わずか2日しか過ぎていない
= to be continued =